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Asbestos

アスベスト調査報告

波状の表面

​2023年、アスベスト

​調査報告義務化、対応の

​ポイントは?

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​CONTENTS

0 1. アスベストとは?
0 2. アスベスト調査義務化
​0 3. 事前調査から報告までの流れ

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アスベストとは? 

​アスベストとは、天然に産出する繊維状ケイ酸塩鉱物の総称です。
労働安全衛生法の規制対象となるアスベストについては、繊維状を呈しているアクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト及びトレモライトと定義されています。

 アスベストの特徴と用途 

石綿とも別称されるように、アスベストの直径は0.02から0.06μm、髪の毛の5,000分の1相当で、たいへん軽いのが特徴です。熱や摩擦、化学薬品にも耐性を持ち、加工も容易。

さらにきわめて安価という、まさに夢の繊維と呼ぶべき素材でした。その汎用性・経済性から、アスベストは古くから電化製品などの工業製品はもちろん、建材としても利用されてきました。

吹付け材や成形材、耐火被覆材、断熱材、吸音材など、その用途は多岐にわたります。

 アスベストによる健康被害 

アスベストが悪夢の繊維と見做されるようになったのは、20世紀に入ってからのことです。

建材メーカーの労働者と工場周辺住民の間で健康被害が訴えられ、その原因が工場内で扱われていたアスベストにあることが認定されました。

アスベストの有害性については1960年代には明らかになっており、1970年代以降は少しずつ規制が進んでいましたが、事態の深刻さが広く認識されるまでには長い時間がかかっています。

鼻腔から吸引されたアスベストは肺に蓄積し、石綿肺(塵肺の一種)、肺がん、悪性中皮腫などの疾患として顕れます。長い潜伏期間が特徴で、例えば中皮腫は平均35年前後ののちに発病するとされています。

危険性が認識されるまでに時間がかかったのはそのためで、静かな時限爆弾とあだ名される所以です。

 アスベスト問題 

アスベスト問題上記リスクから、アスベスト含有建材(アスベストを0.1重量%を超えて含有するもの)は、2006年(平成18年)9月以降、製造・使用ともに禁止されました。

一方で、それまで産業利用されたアスベストの8割は建材に集中しているとされ、古いビルや建築物の外壁や壁紙・煙突・天井・スレート屋根に、現在も大量に残存しています。

高度成長期に建てられたそうした建物は、2020年代以降、一斉に耐用年数を迎えます。今後、解体工事の激増、それに伴うアスベスト飛散および暴露は避けられません。

これがアスベスト問題です。

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アスベスト調査報告義務化 

統計によれば、悪性中皮腫による死亡者数は年々明確な増加傾向にあります(図1)。アスベストの輸入量に連動して、今後、さらに増加すると推計されており、当然ながら、そのなかには工事現場で建材を扱ってきた建設業従事者も含まれます。2020年、最高裁判所は建設型アスベスト被害について国の責任を認めました。これを節目に業界の潮目は大きく変わり、被害拡大の解消を図るべく2021年、2022年、2023年と3回に分け、改正大気汚染防止法が施行されています。

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​2021年

​規制対象建材を拡大、石綿含有建築物の解体・改修工事に際して事前調査の法定化・作業記録の作成・保存義務づけ

​2022年

​石綿事前調査結果報告システムによる調査報告が義務化

​2023年

​建築物石綿含有建材調査による調査報告が義務化

 建築物石綿含有建材調査とは?

建築物の解体・改修の際、アスベストの使用実態を事前調査するにあたっての専門知識を証明する資格、それが建築物石綿含有建材調査者です。

 

同資格には、一般・一戸建て・特定の3区分があり、一戸建ては住宅のみ(共同住宅の共有部分を除く)、一般・特定はすべての建築物を調査対象とすることができます。※令和5年3月現在、一般と特定で調査できる対象に違いはありません。

​◇ 義務化はいつから?

有資格者による調査報告の義務化は2023年10月1日以降となります。解体・改修工事を請け負う事業者は、それまでに有資格者を確保する必要があるでしょう。

​◇ 資格所得法方

同資格を取得するには、厚生労働省と国土交通省、環境省の3省共管の講習を受講し、修了考査に合格する必要があります。

3つの区分のうち一般・一戸建てはそれぞれ座学と筆記試験のみ、特定についてはさらに実地研修と口述試験・調査票試験が加わります。

​◇ 受講資格

いずれの区分も、受講には建築に関する規定年数以上の実務経験、あるいは建築課程の卒業が必要です。一般・一戸建ての区分については、石綿作業主任者の技能講習修了者であれば、それらの受講資格に代えることができます。

そのこともあって、石綿作業主任者の受講者数も急増中。2021年(令和3年)の修了者数は前年の約3倍となっています。

 報告義務者と報告方法 

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報告義務者となるのは、建築物などの解体・改修工事を受注した施工業者(元請事業者)です。

下請事業者や発注者が調査報告を代行することはできません。

 罰則 

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調査報告を怠った場合、または虚偽の報告を行った場合には、大気汚染防止法に従い30万円の罰金が科されることがあります。

◇ 報告が不要な工 事 ◇

(※調査は必要)

・床面積80 ㎡未満の解体工事

・請負金額税込100万円未満の改修工事

・請負金額税込100万円未満の工作物の解体・改修工事

◇ 調査が不要な工 事 ◇

・アスベスト除去を行う材料が木材、金属、石、ガラス等のみで構成されているもの、畳、電球等、アスベストが含まれていないことが明らかなものであって、容易に取り外し可能であるなど、周囲の材料を損傷させない作業

・釘による固定/釘を抜くなど、当該物質が飛散する可能性がほとんどない作業

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事前調査までの流れ 

では、実際に元請事業者がアスベスト事前調査を行う際の手順について整理してみましょう。

まず、必須となる調査方法として、書面調査と目視確認があります。書面がない場合を除き、両方行う必要があります。

1. 書面調査

実際の施工に携わった建設業者をあたり、まず、当時の施工図や設計図書などの文書を基に書面調査を行います。

文書内にアスベスト使用の記載がなくとも、アスベスト含有吹付け材が規制された年代と建築年次を突き合わせて類推できる場合があります。

2. 目視確認

アスベスト使用の有無を記載していない、あるいはのちの改修・補修の際にアスベストが使用された、そういった可能性も当然、考えられます。

書面が古く記載が曖昧、字が掠れて読み取れない、あるいは書面そのものが見つからないといったケースもあるでしょう。

そのため、目視による現地調査も義務づけられています。

アスベストは天井・壁・鉄骨・配管まで、建物の至るところに使用されています。

これらすべてを目視で調査するのはきわめて困難です。

解体時の発塵性/危険度の高い順にレベル1から3までに分類されていますので、優先度の高いものから順にチェックするのがよいでしょう。

◆アスベスト建材別作業レベル区分

 ・レベル1吹付け石綿

 ・レベル2石綿含有断熱材・保温材・耐火被覆材

 ・レベル3石綿含有成形板等・石綿含有仕上塗材

天井への断熱材、機械や壁への吸音材、鉄骨への耐火被膜材として吹き付けられたアスベストなどは、解体時の発塵の危険性がきわめて高くレベル1に分類されており、特に注意が必要です。

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3.分析

 

アスベスト含有の有無が不明な場合、さらに分析を行うことが義務づけられています。必要箇所の建材をサンプリングし、分析会社に分析を依頼します。分析結果を記した調査票は、大切に保管してください。なお、アスベストが含有されているものとみなして法令に基づく石綿飛散防止 措置等を講ずる場合は、分析調査を省略することができます。

4.報告書作成 

      

事前調査の結果報告先は、所轄の労轄の労働基準監督署です。また、環境省が所管する大気汚染防止法に基づき、地方公共団体にも併せて行う必要があります。

一人親方、自主施工者からの報告の場合は地方公共団体のみ

 

報告は石綿事前調査結果報告システムを通して24時間オンラインで行うことが可能です。PC、スマートフォン、タブレットから利用可能で、一 度の操作で労働基準監督署と地方公共団体の両方に報告できます。

 

 

□報告に関する注意事項

 

アスベストの有無にかかわらず、報告は必須となります。

報告は必ず工事前に行わなければならず、その詳細については、事業者側での3年間の保存が義務づけられています。

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